Vol.5 TOP-04~Episode 20~

山を下りきる少し前の所だっただろうか、
その場所にちょっと大きめのみやげ物屋があったので僕はそこに入って熊よけの鈴のついたキーホルダーと「熊出没注意」という文字に熊のイラストが描かれたステッカーを買った。

なんせ知床は北海道の中でも特に熊が多い所らしいので、僕は熊に対して注意深くなっていた。(ステッカーはあまり熊対策にはならないが…。^_^;)

店を出てまたしばらく下った所の分かれ道で僕は立ち止まった。

右へ行く道はカムイワッカの滝のある温泉へ行く。
左へ行く道は今日の目的地であるキャンプ場へと続く。

要するに右へ進むということは寄り道となるのだ。

「どうしよう…。」

僕は悩んだ。
カムイワッカの滝はライダーやチャリダーに人気も高く友人のライダーNも訪れた場所で、滝のすぐ側が温泉になってるという。

しかも混浴らしい。(観光客の通る所から丸見えなので水着で入ってる人がほとんどらいいが。^_^;)

さらにその道には僕を誘惑するもう一つのものがあった。
それは北海道3バカユースの一つである知床岩尾別というユースホステルがあるのだ。

カムイワッカの温泉、3バカユース、どちらも僕にとっては捨てがたいものだった。

しかし、結局僕は今日の目的地へと続く左の道を選んだ。

それは楽しみは後に取っておきたかったというか、まず最北端の地へ急ぎたかったからだ。ここで距離をかせいでなるべく早く稚内市に着けば、礼文島へ行く余裕ができる。
礼文島の桃岩荘こそが北海道3バカユースの最強版だからだ。

早くその地へ行って、多くのカップルが誕生するという「愛の8時間ハイキングコース」のイベントに参加したいという想いが僕からその二つの誘惑を引き離した。
(まあそれに岩尾別は最近おとなしくなってきていてあまりバカ騒ぎしなくなっていると聞いていたこともあるし。)

「まあいい、先を急ごう!」

と、僕は左の道を走りだした。
さらに進んだ所に熊に対する注意書きみたいな看板があったので僕はまた立ち止まった。
それには「熊にエサを与えてはいけません」とか、熊に遭遇してしまった時の対処法などが書かれていた。
「おいおい~マジで熊がでるんかよ。」
「このガードレールを越えて追いかけて来たりしてこないやろうな~」
と、僕は熊に対していっそう敏感になってしまったが、気にせず走るしかなかった。

Vol.5 TOP-04 Episode 20