Prologue DREAM ~憧れ~2

 高校に入った僕はバイトしたお金でようやくサイクリング用にマイ・チャリを購入した。10万円以上するマウンテンバイクだ。(今考えればなぜここまで高価なものを買ったのだろう。)ちなみにバイトは郵便物の配達。しかもチャリ。^_^;。

マイチャリを手に入れてから走った所といえば、奈良県内であれば北は月ヶ瀬村(今はもう合併して奈良市)から南は大台ヶ原まで。県外では大阪空港くらいかな?そのほとんどが もう一人のチャリダー(チャリ友)と一緒に走った。

そして高校二年生の時に出かけた大きな旅が一週間かけての紀伊半島一周だ。宿泊を兼ねての自転車の一人旅はその時が初めてだった。

しかしその旅が僕に初めて「もう自転車をやめたい」と思わされるものとなった。
なぜならその旅が今までとは比べ物にならないほど過酷なものとなったからだ。

その原因としては、そもそも僕が自転車旅行にまだ慣れていなかったということが一番大きい。

なにしろそれまでの旅ではせいぜい日帰りで、荷物は軽かった。
だがその紀伊半島一周の旅は、自転車のリア・キャリア(荷台)にサイドバックを装備し、その中にテントと寝袋、また背中にはリュック。

そんな重装備だったので走行時間が増えるほど疲労度は予想以上に増していった。

そしてその旅が過酷なものとなったもう一つの原因、「日差し」だ。
夏だからといって半袖しか用意してなかった僕はとてつもないバカだった。
露出した腕は火傷を負ったように一気に赤く腫れあがった。出発からわずか2日目にして日光に当たることすら痛みを感じる程になってしまった僕の腕は、帰り道の際には、めくれた皮の下の皮膚までも腫れるという見るからに痛々しい姿と化していた。

はっきり言ってそれは決して楽しい旅ではなかった。走っている時はほとんど
「目的地まであと何キロ?」
「まったく、登ったり降りたり・・・何回こんな坂が続くねん!!うっとうしい!(--メ)」
「登らせるんやったら降ろすなよ!!無駄なことさせやがって!!」
「何で俺一人がこんなに苦しまなあかんねん!!俺はなんてアホやねん。こんなことを好き好んでやってるなんて・・・。」
「他の連中なんか今ごろみんなで楽しくこの夏を過ごしてるっていうのに!!(ーー”)」

とかをひたすら頭の中でぼやいてた。まだまだぼやいてたと思うが自分が惨めになるので控えとこう^_^;。

とにかく「こんなことは二度とするまい!!(ーー”)」と思ってしまう旅で終わった。

 この旅が終わってから僕は本気で考えた。

他のチャリダー達は一体何が楽しくてこんな苦しい思いをするのだろう。僕のようにただ遠くまで走ったことを自慢したいだけじゃないのかと。

Vol.0 DREAM-2 Episode 0