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NORTH TOURING `96(長編北海道一周日記)Episode 29-1/2

Vol.7 LOVE
Final Episode 1/2

 

最終話
「輝く街」

 

いったん札幌の市街地に戻って、国道5号乗れば30kmほどの平地だ。
市街地で信号にひっかかったとしてもその最短ルートで行けば2時間ほどで小樽に着くだろう。
それでは夜11時半出発まであまりにも時間がある。
観光客として小樽で観光、もしくは恋を追い求めて札幌でもう一度あの人を探して空いた時間を埋め合わせるという手もある。
しかし、僕はこの北海道に来た一番大きな理由は、
自然に触れること。
だから最後はあえて遠回りとなる山道を選んだ。
女を追う男ではなく、
やはり僕は自然を愛する一人のチャリダーとして、
最後の山道を走りきりたかった。

僕は国道36号から230号に乗り換え、さっぽろ湖の方へと向かった。
さんざん苦しめられた山も、今は別れが寂しくなっていたので、むしろ山の坂道は物足りないと思うほどの苦しみだった。
(かと言って、僕はMではありません)
さっぽろ湖に向かう山道を登りきったとき、曇りだった天気も晴れていた。
そのダムの前にはなにやらモニュメントがあった。
その美しい光景は、僕にはトロフィーのように感じられた。

だが、まだ先に朝里峠、標高730mとある。
そして僕は最後の峠を上りきり、ついに下りの道に入った。
しばらく下ったところに、巨大なループがあった。

まるで高速道路のような造り。
僕は空を飛んでるような気分でその坂道を下りた。
朝里峠の坂を下りきって国道5号に乗るとすぐに小樽に着いた。

小樽に着くとまず、今夜発つ港の場所確認をするため、
フェリーターミナルまで走った。
そのすぐ近くにある、かつない臨海公園にはこんな看板があった。

「キャンプ禁止か…」

が、しかし、みんなちゃっかりテントを張っている。
北海道の警察も旅人には優しいのか、そのおおらかさが伺えた。

次にあの有名な小樽運河に行った。
まだ明かりが灯されていない小樽運河はイマイチ見応えがなかった。

僕は食事をするため、店に入り、
もう一度、小樽運河に来た。


今度はちゃんと明かりが灯されて綺麗だった。
僕はしばらくボーっとしていた。

するとなにやら隣から声が聞こえてきた。

「すいませ~ん、ちょっと写真撮ってもらえませんか?」

と言う人がいる。
隣にいた男性がカップルに声をかけられていたのだ。
チラっと見ると、カップルの男性は彼女の後ろからハグしているところだった。

「うわ~、あんな写真撮らされてる。俺が声かけられなくてよかった。」

その写真にちょっと心霊写真が写っていてほしいと思った。
(まあ、こういう器の小さい僕だから、彼女もいなかったのでしょうね)。

僕は札幌で買った1枚のはがきを取り出した。
何の洒落っ気もない普通の官製はがき。

ペンが走るままに書いた。
(本当に走り書きだった。)
内容としては
「実は今、小樽運河でこれ書いてる。○○さんと会いたかったけど、電話番号ななくて
連絡つけることができなかった。」みたいな雑で、不器用な内容で。
そのはがきのあて先は言うまでもなく、礼文島の桃岩荘で出会った彼女だ。
それをポストに投函した。

「ほんの少しでも、俺の気持ち伝わるだろうか。」

Vol.7 LOVE Final Episode 1/2