第6話 勇敢なる女性チャリダー-2

話を聞いてそれを思い出した時、僕にとって今まで「明るい」とか「青春」というイメージでしかなかった百人浜がちょっと恐い存在に変わった。

「それにしても、こういうワイルドな旅を続けている人でも、意外とそんな話に弱いんだな・・・。」と思った。

ちなみに僕もオカルトとかホラー映画とかは全くといっていいほどダメなタイプである。

僕は霊などは見たこともなければ見たくもないのだけど、その存在は否定してない。
でもだからといって、そうやって霊を「恐いだけのもの」として噂するのは霊がちょっと可哀相だと思う。なぜなら霊も、元は普通の人間だったのだから・・・。
僕は話を聞きながらそう思っていた。するとその人と話をしていた一人の人が

『そうですかぁ~?百人浜のキャンプ場、僕泊まったけど何もなかったですよ』

と言ってその浜に泊まるのはやめた方がいいということを否定していた。

それを聞いた僕は、少し安心して眠りにつくことができた。

 やはり昨日の夜は早く寝ただけあって翌朝目覚めた時の調子はよかった。

苫小牧から襟裳岬まではそれほど遠くなく、自転車であっても二日もかければ十分に辿り着けるのだが、あえて僕はいったん戻ることになるようなルートを設定していた。
何故なら夕張も支笏湖も早いうちに行っておきたかったからだ。(いかに無駄な道のりになっているかはMAPを見てね)

よって今日のコースは襟裳岬とは全く逆の方向である支笏湖に向かわなければならない。
山道に入るので距離には無理がないように設定してはいた。

 支笏湖へ行く山道は結構キツかった。
もう少しで支笏湖が見えてくるという時に公園みたいな場所があったので、そこで昼食をとることにした。

ガスストーブに火をつけ、湯を沸かした。今日の昼食はむなしくもカップラーメンだった。
しかも、この日の僕は気合いれていたのか、バリバリのチャリダースタイルだった。そんな姿でカップラーメンを食べる姿はちょっとカッコ悪かった。

「まあ、誰も見てないからいいか・・・」

と思って食べているとそこにいきなり中学生くらいの少年たちがやってきた。
僕は恥ずかしいのでなるべく彼らの方を向かないようにコソコソと食べていた。


しばらくすると、何やら彼らが騒いでいる声が聞こえてきた。

「おお!危ねぇ!!ビックリした~!」

それを聞いた僕は

「何や?やかましいなぁ~。人の昼食タイムを邪魔するなよ~。ただでさえこんな格好で食べている姿見られたくないのに。まったく・・・。」

と思っていると横から「ブーン」という虫の飛ぶ音が聞こえてきた。

Vol.2 RUN-04 Episode 6