Vol.6 SKY-03~Episode 23~

みんな、昨日出会った人たちばかりで、楽しく話しをしながら歩いていた。

しばらくすると、海の水が間近に見える場所に来た。

また水が綺麗なこと。
みんな立ち止まってその美しさに驚いていた。

本当はもっと綺麗でした。
写真じゃ伝わりきらないのが悔しいです。↑

昼ごはんを食べて日も傾きかけた頃から、岩場ばかりの道となった。

みんなはこんな道を進むことを少し嫌がっていたが、僕はこんな道を進むのが大好きで、ぴょんぴょん飛び跳ねながらスイスイ進んでいたら、29歳のオネー様に

「君はお猿さんか?」

みたいなことを言われた。
僕は楽しくなって、いつの間にか集団が見えなくなるくらいまでどんどんどんどん先へ進んだ。

しばらく岩場を進んだ所に、大きな滝があった。

礼文滝だ。

そこでみんなで休憩をとった。

流れ落ちる水は、しぶきを上げて虹を作っていた。

そして、再び進みだした僕らだが、今度もまた僕は集団から離れて一人で先先進んだ。

そしてやっと遠くに「あれが桃岩壮かな」と、それが目で見える場所に来た時、
巨大な岩が聳え立ってるのに気がついた。

礼文島で有名な地蔵岩である。

「で‥、デカイ」

僕はそのデカさに圧倒された。

そしてその近くの看板には

「完全踏破おめでとう
この苦労と喜びは、あなたにとって最高の思い出になるでしょう。
本当にご苦労様でした。」

とあった。

集団を抜けて、一足お先にこの場所まで来た僕は、この不思議な岩の前でのんびりと他の人が来るのを待った。

「みんな早く来ないかな~」

僕は通り抜けた地蔵岩を振り返って見てみた。
そしてもう一度その下まで行って眺めたりしていると、遠くに集団が来るのが見えた。

そして、最終地点に着いたみんなはそれぞれに、たどり着けた喜びと、その岩のデカさに歓声をあげていた。

ちなみにこの地蔵岩、その名前の由来とは、お地蔵さんが手のひらを合わせて拝んでいるように見えるからとも言われていると、昨日のミーティングの時にスタッフさんが言っていた。

「なるほど‥。あれが手のひらか‥そうするとめちゃめちゃデカい手になるな‥。」

地蔵岩から少し進んだところに小さな店があった。
そこでみんなでビールを買って乾杯した。(僕は酒が飲めないんだけど、この時ばかりは無理に飲んだ。)
みんな地面に寝っころがった。

僕はいつの間にかみんなと打ち解けていた。

それは同じことをやり遂げたことともあったが、やはり、自然の中では人は素直になれるのだと思う。

ようやく桃岩壮に着いた。

すると、どこからともなくスタッフさんの声が‥

「みなさん、8時間、お疲れ様でした!!」

僕らは上を見上げた。


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スタッフさん3人が屋根に登って僕らの帰りを待っていた。

そしてそこで何をするかと思ったら。
屋根の上で昨日のミーティングの時の踊りを踊りだした。

「なんじゃコイツは~やっぱアホや!」

と思ったが、すでに僕らはの気持ちは一つになっていて、
昨日ようなの恥ずかしがっていた僕らではなくなっていたので
一緒になって踊ってしまった。


夕日を浴びながら僕らは踊った。

楽しかった。

嬉しい時には踊る。
みんなで一緒に喜ぶ。
そんなことが楽しかった。

僕はこのスタッフさん達にそんな当たり前のこと、
でも、今の世の中にはなくなりかけている
とても大切なことを教えてくれた気がした。

このスタッフさん達と最初に会った時は、

「なんやコイツらは、変な宗教みたいやな。(ちょうどその時都会ではオウムが騒がれてたし。)」

と思っていたが、丸一日、自然の中に溶け込んで、みんなと一つのことをやり遂げた今となっては
逆に、こんな自然の中で力強く生き、そして、何もない所から楽しみを生み出す
そんなスタッフさんたちが輝いて見えた。

Vol.6 SKY-03 Episode 23