Vol.5 TOP-11~Episode 22~

信じられない景色だった。
ここが日本とは思えないほど雄大だった。
その丘の道を抜けるとまた海沿いの道に出た。

「宗谷岬4km もうすぐ日本最北端の地だ。」

そして僕はついに最後の4kmを走りきった。

「ここが最北端の地か、ついに来たな…。」

大きな感動とともにしばらく僕はその場所に立ち止まっていた。

最北端に着いたのはいいが、その石碑の前では絶え間なく観光客による写真撮影。
僕はほんの一瞬、石碑の前に人がいなくなったスキをついて写真を撮った。

しかし僕はそこが最北端と言い切られていることに少し疑問を感じた。

なぜなら…
よく考えたらここの方が最北端ではないのか。
いやいや、ここが本当の最北端じゃないか…。

…さて、バカな話は置いといて、僕はそこで食事を済まし、みやげ物屋をまわった。
みやげ物屋の隣にあった階段に猫がのんびり昼寝をしていた。

「あ、ネコちゃんだ…。」
「ネコちゃんだ…。」
「ネコちゃんだ…。」

「ガシッ!」(嫌がってます)

さて、バカな話は置いといて、先に進みましょう。

宗谷岬で十分楽しんだ僕は今夜の宿である稚内森林公園キャンプ場を目指して走り出した。
その地は稚内市街地で、同じ稚内市でもここ、宗谷岬から30kmほど離れている。

「今日の目的地にはまだ着いていない。さあ、急ごう!」

日が少し傾いた時に僕は稚内市街地に着いた。
しかし、地図にあるキャンプ場らしき場所がどこにも見当たらないのだ。
地図を見ながら迷っていたら、同じようにこの辺をウロウロしながら地図を見てるライダーがいた。
僕はその人に声をかけた。

その人が言うことにはこの辺にそれらしき場所はなく、山に入る道が一つあってそこにもしかしたらあるかも知れないとのこと。
その人は
「俺が、先に行ってキャンプ場があるかどうか見てすぐ帰ってくる。」


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と、言ってくれたので、僕はその場で待つことにした。
その道はキツイ坂になっていて僕も上ろうとは思ったが、上まで行って、もしキャンプ場がそこになければ無駄な労力となるのでその人の行為は有難かった。

しばらくしてそのさっきのライダーが帰って来た。
そしてその人はその道の先にキャンプ場はあると僕に伝えると先に、キャンプ場へ行った。
とりあえず今日の宿のありかは分かったが、その坂のキツさにはまいった。
僕はテントを張ったら荷物を置いてまたその道を下り、そこから数百メートル北北西にあるノシャップ岬まで走った。
(これまたややこしいですがノサップ岬ではありません。
納沙布岬とは日本最東端の岬です。覚えてますか?忘れた人はここをクリック!)

ノシャップ岬に着くとまたまたカップルがいっぱいいた。

そして、その岬から利尻富士が見えた。

僕はその場所を去り、また数百メートル南南西にある稚内温泉に行った。
そこは広い温泉で、休憩室でパンも販売していたのでちょうど食料が不足していた僕は有難く買った。
稚内市街地でコンビニのようなコンビニでないような店があったので、そこでもう少し食料を買い足してキャンプ場へ戻った。

なんとか予定よりも一日早く稚内に着いたので、ここで三日ある予備日を足せば余裕で利尻、礼文島へ行ける。

明日はついにあの北海道3バカユースの最強版の「桃岩荘」に泊まるのだ。
「朝一番に電話して予約が取れれば、フェリーで礼文島へ直行だ!」
最終目的地だったこの最北端の地を超えてさらに向こうへ。

僕は楽しみにならずにはいられなかった。

NORTH TOURING’96
Vol.5 TOP
~頂~

Vol.5 TOP-11 Episode 22