Vol.3 TOURIST-06~Episode 12~

ようやくその層雲峡へたどり着いた時は8時ころだった。
僕はまだキャンプ場を見つけてはいなかったがその街の明かりを見て急に安心してその中に入っていった。そして旅館で日帰り入浴し、その近くにあるみやげ物屋で買い物をした。

地図によるとキャンプ場はもうすぐ近くにあるはずだ。

再び国道へ出た僕はキャンプ場を探したのだがそのキャンプ場はなかなか見つけることができなかった。
そして僕はいつのまにか「銀河トンネル」という名のトンネルの入口まで来ていた。

「この先にキャンプ場があるのか・・・」と思ったがこのトンネルに入るのにはなんとなく抵抗を感じた。
こんな真っ暗なトンネルで、しかもこの自転車の小さいライトでは車も気がつくことなく僕をひいてしまう危険性がある。それにこのトンネル、とんでもなく長いトンネルではないのかということを直感で感じ取っていた。

「でも先に進まないと始まらない」と僕は意地でもこのトンネルを抜けようと、自転車のライトの光量を補うためにランタンをぶら下げてはしることにした。

はたから見たらこの姿は無気味に思えるかも知れないが僕は自分の安全を優先するためはそんなことも言ってられなかった。
 しかし、走行中の自転車の車体の揺れによりそれにぶら下げられたランタンも激しく揺れた。しかもガスを燃やして光を放つランタンは同時に多量の熱も放っていた。

この手段で走るのはかえって危険と判断した僕は再びトンネルの入口に引き返した。

「どうしたらいいのだろう。この先にキャンプ場なんかあるのか?」


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僕の持ってる地図がはそれほど古くないのにこの「銀河トンネル」が載っていなかったのだ。だから僕はこの辺りの地形が読めなかった。

トンネルの入口に戻るとさっきはいなかったのにいつのまにか僕と同じようにライダーの2人が地図を見て悩んでいた。

その人もキャンプ場を探しているらしい。その人達の話によるとバイクでトンネル内を1kmくらいを進んだけどまだ出口が見えなかったとか。

僕はその2人と一緒に行動することにした。そして僕らはこの先にキャンプ場はないと判断し、この辺りの道をもう一度入念にチェックしてみることにした。


そして僕らは何kmか引き返したところで僕らはそのキャンプ場の入口を発見した。
「これは見落とす訳や、なんて分かりにくい場所にあるねん。」と思うような場所にそれはあった。


しかし、そのキャンプ場の入口には「本日の受付は終了しました。」と書いてその道をふさぐ柵がされていた。

「どうしよう・・」と少しためらったが僕らはその柵の横を通り、強引に中に入った。

中に入るとキャンプ場の面積は狭く、他のキャンパーはだいたいがチャリダーらしく、そのチャリが置かれていてテントのほとんどがもう静かに寝てるようだった。

僕はテントを張りはじめた。
ライダーの二人は風呂に入ってくると言ってその場を離れた。

僕はテントを張り終わると少しお腹が空いてきたので米をといでいた。

すると僕の入ってきた道の方から二人の管理人らしき人が来て僕のテントを見て言った。

「すいません、あのテントはあなたのですか?」

僕が「はい」と答えるとその人は急に不気味な声になり

「もう今日は受付終了したと書いているのが見えませんでしたか?」

 

Vol.3 TOURIST-06 Episode 12