第13話
「混浴とHな本」
昨日結局通過しなかった銀河トンネルは3km以上もある大きなトンネルだった。
それにしても今日はおそらくこの旅の中で最も過酷な日になりそうだ。
北海道の真ん中に位置する石狩山地はいくつもの山が連なっている。
僕は今日、この巨大な山々を一刀両断する国道273を走らなければならない。しかもそれは三国峠という標高1541mのほぼ頂上まで登らなければならないということも同時に意味する。
今日はこの前の狩勝のようにはいかないだろう。しかし、そのかわり今日を終えてしまうと残りの旅ではそこまで巨大な山越えはないのだ。
気合を入れて僕は山に向かった。
三国山の山越えに入る少し前の大函というところで休憩をとり、そのもう少し進んだ所に大雪湖という湖があったのでそこにも少し寄ってみた。
そしていよいよ三国峠を目指し、走りだした僕であったが、やはりその山の過酷さには苦しさを隠せなかった。
キツすぎるというほどの傾斜ではなかったが、その登りの山道は20km以上も続いた。
しかも周りは完全に山ばかりで人っけなど全く感じない。
また車も少なく完全に孤独な走行。
おまけに今日は快晴、日差しも容赦なく僕に照りつけた。
<広告>
苦戦した末、僕はようやく三国峠にたどり着く事ができた。
その展望台は見事だった。四方八方360°の視野でその景色が広がっていた。
ここまでの視野で見渡すことのできる展望台は初めてたった。
僕は苦労した分、その感動も大きいものだった。
「これだけキツイ山越えはこれから先もうない訳やな・・。」
僕は、この旅の最大の難関をクリアした喜びと安心感は得たが、同時に目的が一つ消えてしまったことが淋しくもあった。
僕はこの景色を十分に楽しんだ後、キャンプ場を探すために山を下った。
さすがにここは山なだけあって、その長い下りの途中には多くの動物を見た。
道のすぐそばまで近づいてじっとこっちを見てる鹿や、僕が道を通ったらあわてて逃げて行く鹿がいた。
車道を堂々と歩き、食べ物を口にくわえて歩いて行くキツネも見た。
いろいろと登りでは苦戦はしたが、高速走行できる山の下りでまた距離を稼ぐことができて今日は夜間走行することなく無事夕方にキャンプ場に着いた。(それは実はちょっと予定を変更して目的のキャンプ場より20kmほど近くにあるキャンプ場に泊まることにしたからだけどね^^;)
僕は昨日のキャンプ場での嫌な出来事があったので今日はその受付の際に少し警戒してしまったが、僕が受付を済ますと管理人の人はやさしい声で
「ではごゆっくり」
といってくれたことで安心した。